大会長 あさかホスピタル佐久間 啓
2008年にうつ病リワーク研究会が結成され10年が経過し、正会員施設も200ヵ所を超え、年次研究会においても、うつ病を廻る課題について、様々な視点から活発に議論されてきました。第10回の研究会は『力動的理解に基づくチーム医療』をテーマに九州で開催され約400人の参加者を数えています。
研究会としては第11回となり、平成 30 年 2 月に発足する予定うつ病リワーク協会年次大会としては第 1 回目となる本大会では、うつ病の背景にある「発達特性」に焦点を当てることにしました。近年の精神科医療は児童から成人まで、精神疾患の診断、治療、そして就労を考える上で、背景にある発達障害や発達特性についての理解を深め、支援を構築することが大変重要となっています。
近年、リワークデイケアの現場において、個々の発達特性への対応の困難さが大きな課題となっており、昨年は本研究会で「自閉スペクトラム症の特徴がある参加者へのリワーク支援の手引き」も作成されています。第11回の研究会では、発達特性の理解、評価、治療、支援について少しでも踏み込んだ議論を行い、参加する皆さんが、今後リワークデイケアで取り組むべき課題や方向性に何らかのヒントを見出せる機会になればと考えます。
2016年12月からストレスチェック制度が導入され、気分障害への早期介入、早期治療、そして適切な復職支援という流れの中で、精神科医療は企業や産業医との連携の中で、その役割の明確化と専門機関としての説明責任が求められています。そのような意味で、リワークプログラムはうつ病からの職場復帰に重要な役割を果たしており、その普及と共に社 会的認知を更に高めていく必要があります。今回は初めての東北での開催になりますが、全国的に見るとリワークデイケアがまだまだ少ない地域ですので、この年次研究会が東北のリワークデイケアの増加や充実に少しでも寄与できればと考えます。
震災の傷跡はまだ癒えない福島ですが、磐梯山や猪苗代湖に代表される豊かな自然とその美味しい恵みは健在です。
出来る限り多くの皆様のご参加を心よりお待ちしています。